東京工業高等専門学校は東京都の国立高専です。
就職実績がよいと有名ですが実際はどうなのでしょうか。
そのあたりについても詳しく解説していきます。
情報は随時更新していきます。
高専ってなに?
高専は一般に知られていない学校形態です。
中学卒業後に進学するという点では普通高校と同じですが、
その他の点では普通高校とは全くの別物です。
「高専とは何か」について丁寧に解説した記事がありますので、
まずこちらをご覧ください(新しいタブで開きます)。
東京工業高等専門学校ってどんな学校?授業・行事はどんな感じ?
東京工業高等専門学校(以下東京高専)は1965年に設立された学校です。
5学科に分かれており、1学年1学科40人となっています。
1学科の人数が少なく、5年間も一緒に勉強するため、
卒業時にはクラスメートとかなり仲良くなっていることが多いです。
授業
東京高専は
5つの学科があり、入試時に5つのうち1つを選択し、
入学後はその学科に沿った授業が行われます。
1年から5年にかけて、理系科目重視で授業が行われます。
1年次は一般科目がほとんどですが、
学年が進むにつれ、専門科目が増えていきます。
機械工学科 | 材料力学、基礎製図、機械製作実習、機械設計法、メカトロニクス実習 |
電気工学科 | 電気回路、プログラミング言語、デジタル回路、電磁気学、創造電気実験 |
電子工学科 | 電子工学実験、電子計測、デジタル回路、コンピュータ工学、情報処理 |
情報工学科 | プログラミング言語、論理回路、実践プログラミング、情報通信工学 |
物質工学科 | 無機化学、生物学、物質工学基礎実験、量子論、高分子化学 |
2年次以降は上記のような科目について勉強することになるのですが、
大学で勉強するような専門的な科目が多いですね。
また、全国の高専で共通ですが、4年生で研究室に配属され、大学と同じように卒業研究に取り組むことになります。
全ての高専に共通する話ですが、
赤点は100点中60点です。
そして、単位取得条件も厳しく、数単位を落とすと留年してしまいます。
普通の高校ではありえませんが、毎年1クラスで1人から2人ほどが留年・退学します。
平成27年のデータですが、高専全体で留年率は3.7%、退学率は2.6%となっています。
数値を見ると、5年生になったときに1年生で一緒に入学した学生のうち、
2割程度が留年し、1割程度が退学していることになります。
1クラスが40人程度なので8人ほどが留年して、4人ほどが退学することになりますね。
勉強をしっかりしないと卒業できない特徴が企業からの高い評価につながっているんですね。
行事
1年生では1泊2日の校外オリエンテーションがあります。
入学直後に行われますが、かなり友達を作りやすくなっていますね。
2年生ではスキー教室が行われます。
3年生ではクラス単位で工場見学を含む国内旅行が実施されます。事実上の修学旅行ですね。
また毎年、体育祭とくにぎだ祭(文化祭)も開催されます。
体育祭では学科対抗で様々な競技が行われます。
学校ではコスプレをする人もいて、ゆるく楽しく行われます。
単位には換算されないので、登校しない人や、途中で帰宅する人もいます。
高専全体に言えることですが、文化祭にはかなり力が入っており、
食品バザーとは別に、ビデオゲームの製作展示など、学科ごとに特徴をもった展示が行われ、盛り上がります。
文化祭の1か月前ぐらいからは学生が製作モードに入り、学校に居残り製作を続けます。
実際、一つのものを大勢で作り上げるのは楽しく、クラスメイトとかなり仲良くなれます。
学生生活
高専全体にいえることですが、校則はほぼありません。
バイトなども普通の大学のように実質自由です。(学校としては非推奨という立場をとっています。)
その他にも、髪染め、髪型、服装、ピアスなど完全に自由です。
休み時間であれば、ゲーム機でゲームをしようが、スマホをいじろうが何も言われません。
休み時間に学校を抜けて買い物に行っても問題ありません。
東京高専では5年間クラス替えがないため、友達とはとても仲良くなることが出来ます。
東京高専の進路は?進学実績は?
東京高専ではおよそ五割強の95人程度が就職、五割弱の85人程度が進学します。
就職
まずは就職実績についてみていきましょう。
機械工学科 | キヤノン、住友電気工業、LIXILなど |
電気工学科 | 旭化成、NTT東日本、ソニーエンジニアリングなど |
電子工学科 | キヤノン、パナソニックITS、出光興産など |
情報工学科 | NTT東日本、NHK、ビズリーチなど |
物質工学科 | 旭化成、出光興産、富士通など |
聞いたことのある会社が多くありますね。
基本的には会社側から求人が来て、東京高専が就職先をあっせんしてくれます。
もちろん落とされることもありますが、大学からの就職と比べると圧倒的に楽です。
また、求人は1人につき平均19社から求人が来ます。
かなり高い就職実績は東京高専の魅力ですね。
進学
高専というと就職が有名ですが、高専からは大学の理系学部に編入が出来ます。
編入というのは編入学試験という試験を受けて大学の3年に入学することです。(まれに2年に入学することもあります)
編入については以下の記事で詳しく説明しているのでご覧ください。(新しいタブで開きます)
では合格実績を見ていきましょう。
2020年度
大学名 | 人数 |
---|---|
東京農工大学 | 8 |
東京工業大学 | 4 |
長岡・豊橋技科大 | 16 |
東京都立大学 | 3 |
名古屋大学 | 1 |
専攻科 | 24 |
2019年度
大学名 | 人数 |
---|---|
筑波大学 | 4 |
電気通信大学 | 3 |
東京農工大学 | 8 |
京都大学 | 1 |
長岡・豊橋技科大 | 19 |
専攻科 | 27 |
難関国公立大学が目立ちますね。かなり進学実績も良いことがわかります。
毎年、進学者のおよそ3割ほどが専攻科に進学しています。
専攻科というのは高専の本科を卒業した後にさらに2年間通うものです。
専攻科については以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。(新しいタブで開きます)
その他に進学者が多い大学として、長岡技術科学大学、豊橋技術科学大学がありますね。
この2大学は高専卒業者のための大学となっており、全国の高専卒業者が集まります。
この技科大も国立大学ですのでおよそ6割の学生が国公立大学に進学しています。
高専は就職のイメージが強いかもしれませんが進学実績もかなり高いですね。
東京高専の倍率、偏差値、内申の目安は?
東京高専は、都立高校と入試が別日程です。
ですので、東京高専に出願すれば受験機会を1回増やすことが出来ます。
ただ、東京高専の合格手続きが都立高校の入試日に被っており、受かれば行く人でないと、受けても意味がありません。
倍率
過去3年の倍率を見てみましょう。
一般入試の倍率は
2021年 | 2.23 |
2020年 | 3.22 |
2019年 | 3.18 |
となっています。
応募締め切り時は、上記の倍率より高い倍率になりますが、
受験辞退者がいるため、
実質倍率はそれよりは少し低くなります。
また、東京高専は受験時に学科を選択する必要があるため、学科によっては上記の倍率より高い場合もあります。
実際、情報工学科は非常に人気が高く、毎年3倍程度の倍率となっています。
推薦入試の倍率は
2021年 | 1.31 |
2020年 | 1.15 |
2019年 | 1.15 |
偏差値
次は偏差値を見ていきましょう。
通常の高校とは違い模試で偏差値が出ないため、他サイトを参考にします。
偏差値 64
から、大体全国の高専の平均程度の偏差値であることがわかります。
東京高専に受かるためにはどんな勉強をしたらいいの?
入試問題解説会で
入試問題の傾向などを知ることが出来ます。
また、東京高専の雰囲気を知るということも大切ですので、
オープンキャンパスには行った方がいいでしょう。
次に試験の配点から、どのような対策が必要か見ていきましょう。
まずは一般入試の配点を見てみます。
学力試験 | 内申点 |
---|---|
70 | 30 |
一般入試では学力試験が数・国・英・理で行われます。
また、数学のみ点数が2倍で計算されます。
内申点は
英・国・数・理・社 | 1.2倍 |
その他 | 1倍 |
で計算されます。
試験では数学がかなり重要視されています。
次に推薦入試の配点を見てみます。
面接 | 内申点 |
---|---|
30 | 70 |
内申点は
数・理・英 | 1.8倍(1科目最大9点) |
国・社・音・美・保体・技家 | 1.3倍(1科目最大6.5点) |
で計算されます。
また、英検準2級以上、数検準2級以上を取得している場合はそれぞれ2点ずつ加算されます。
利用される内申は3年のものだけですので、3年は内申を上げるように努力しましょう。
中でも数・理・英は重要視されていますので、
しっかりと定期試験で点数を取って内申点をアップさせましょう。
また、入試問題は全国の国立高専で同じ試験が行われます。
過去問が公表されていますので、過去問を見ての対策が必須です。
東京高専のアクセスは?
東京高専の住所は
〒193-0997
東京都八王子市椚田町1220-2
です。
東京高専のアクセスは
京王線 狭間駅より | 徒歩5分 |
京王線 めじろ台駅 より | 徒歩15分 |
です。
今回は東京高専について説明しました。
校風がかなり自由で、モノづくりが好きな人におすすめです。
是非、進路選択の参考にしてもらえればと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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